第21回 時代遅れ? 直して使う腕時計

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神戸では最も賑わう三宮センター街 の入り口付近。 この商店街から、技術・技能を持つ専門店が少なくなっていくのは、時代の趨勢(すうせい)か。(神戸・三宮で)

30年近く使ってきた腕時計が止まった。買ったデパートへ持っていくと、一部の部品が磨耗していて、修理に2ヵ月もかかるという。外国のメーカーに送り返して直してもらうためだ。購入当時は、それこそ清水の舞台から飛び降りる気持ちで買ったシロモノだけに、時々電池さえ入れ替えておけば、正確に時を刻んでくれていた。

修理には値段もかなりかかる。うーん、このままおクラ入りにしようと、いったんはそのまま帰った。が、長年まるで体の一部のように親しんできたものとオサラバかと思うと心残りがして、翌日、修理依頼に出向いた。

その間、使い捨てのファッション時計でも、と思って品定めしたがどれもピッタリとこない。仕方なく、机の中に眠っている腕時計を探した。そのうち気に入ったデザインの2つを引っ張り出した。1つは動いている。だが、時間が5分ほど進んでいた。これを三宮の時計店に持ち込んだ。突起ボタンが4つ着いた特別仕様のもので、時間の合わせ方が分からなかったからだ。応対の若い店員は、「自分でやってください」と、ホームページのアドレスをメモした紙切れをくれた。自宅に戻って試してみたが、型番が多すぎてどの分を開けばいいか分からず、断念した。

もう1つは、電池切れ。これを持ち込んだら、「防水装置がしてあるので、電池交換でも、メーカーに送らないと……」というので、その場で、これも断念した。

今ごろは、安価でいい時計が買えるので、私のような古い時計を直してでも使うというのは、流行らないのだろうか。時計店にも、技術を持つ人がいないようだ。

商品も安価な品の大量生産時代から、「個の時代」に戻りつつあるというが、現実はなかなか厳しいようだ。

(2004年9月21日)

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