第26回 神戸の春はどこから?

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繁華街に植え込まれた色とりどりの花。ひと足はやい春の訪れ(神戸市中央区で)

近畿地方に春一番が吹き荒れてから、逆に寒い日が続いた。西高東低の冬型気圧配置が戻り、六甲山に雪が舞うこともしばしば。春は未だし、の感がある。

ふと、神戸の春はどこから来るのか、気になった。東北や北陸など、冬が長く寒さが厳しい地方では春を待つ気持ちが強いためか、それぞれに伝統的な到来の合図がある。神戸はどうか。「岡本梅林から」という人が多い。江戸時代から兵庫の里謡にうたわれた梅の名所、東灘区の岡本の梅林だ。しかし、「神戸港に外国航路の豪華客船が入ると春が訪れる」とか、「生田川の堤の桜こそ神戸の春そのもの」との声もある。かつて春霞の中を「クイーン・エリザベス?号(QE?)」が、悠然とミナト神戸の埠頭に入ってきたのを思い出す。確かに春の風物詩であった。いま、都会では季節の変わり目をキャッチするのが難しい。

私などは最近、郊外のゴルフ場で聞くウグイスの鳴き声に春を感じる。早春のうちは「ケキョ ケキョ」と、下手で不完全な声。それが春風とともにだんだん上手くなっていく。

年ごとに中高層ビルが建て込んでいく神戸市内。日脚が伸びたり、水がぬるんだり、といった自然の移ろいはあまり感じられないが、彼岸を過ぎると寒さは確実に消えて、いつの間にか春になっている。

(2005年3月2日)

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