第30回 絵画個展を前に作品紛失

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次々に送られてくる展覧会案内のはがき(本文と関係はありません)

先ごろ神戸市内の有名美術画廊で開かれた兵庫県内在住画家の絵画展を前に、主催者側が、その絵画展のメイン作品(10号、油絵)を紛失した。ヨーロッパを題材にした力作だった。

同展の案内はがきに、その作品の写真を大きく載せていたため、主催者は急遽、別の作品をあしらったはがきを刷り直し、「私どもの不手際により(案内状に掲載した写真作品が)出品できなくなりました」との旨の「おわび」を書き添えた。

最初の案内状作成で印刷会社に渡し、戻ってきた作品を主催者が保管しているうちになくなったという。ダンボールに包み、保管棚に置いてあったが、他の展覧会の作品入れ替えなどに紛れて消えたらしい。当の画家は「近くのごみといっしょに捨てられた可能性が大きい」と憤る。

主催者側が手落ちを認めて弁済する手筈になっている。しかし、こんなことでいいのだろうか。作家の魂とも言うべき作品の扱いがあまりにもお粗末だ。文字通り「商品」を扱う態度としか思えない。なくなった作品はかなりの値がする、と聞く。これが、もっと高価な高名な大家の作品だったら「保管棚」扱いではなかっただろう。これといった紛失対策はとられていなかった。「値踏み」したような扱いをしていた画廊側に、「商売」優先の気配を感じて仕方がない。「文化」を商いにしている者の一人として、もって他山の石としたい。

(2005年6月21日)

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