第23回 国際展の応募作品を紛失

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国際絵画展の応募作品書類紛失で揺れる兵庫県立美術館(神戸市中央区のHAT神戸で)

「ぶんか」の看板を掲げている当コラムとして、ぜひ触れておきたいことが起こった。兵庫県立美術館(神戸市中央区)が、国際公募展の応募書類の一部を紛失していたという。文化人にとっては重大な「事件」に違いない。

同美術館は、阪神大震災から10年の記念事業として被災地の文化復興を示そうと、「兵庫国際絵画コンペティション」を企画した。「大賞」賞金が1,000万円という大型企画だけあって、7、8月の公募期間に約7,900点が集まった。

審査結果の通知が届かなかった人からの訴えで、公募最終日の8月31日に同美術館へ応募書類を持参した約50人分がなくなっていることが分かった。受け付けたのは委託業者。まとめて箱に入れておいた、といっているが、なぜなくなったかは不明のままらしい。一部がなくなったことを知らずに、すでに審査を終えてしまった。

作者の思いを踏みにじった同美術館の責任は重い。集まる書類のチェック態勢を十分に整えていなかったからだ。簡単な受付簿さえ、用意していなかったというから、驚きだ。業者任せの、わきの甘い同美術館に、こんな大型企画を運用する資格があるだろうか。作品に命をかけている作者・作家の側に立てば、こんないい加減の処置はできないはずだ。

(2004年11月10日)

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