第29回 新緑の六甲山に親しもう

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六甲山の新緑を背に校舎の屋上に泳ぐこいのぼり(神戸市中央区の雲中小学校で)

新緑の季節だ。六甲山の木々の緑が目に眩しい。市街地の背後に屏風のようにそびえる 六甲山は、神戸市民にとって最も馴染みのある山だ。

しかし、この六甲山が100年前は岩砂むき出しのはげ山であった事実を知る人は少ない。当時の人々が生活の糧に木々を伐採したため、丸裸になったのだ。そこで神戸市が植林を始め、100年をかけて現在の姿に甦らせた。六甲山はこの一世紀の間に、人間の愚かさと英知を経験した山かもしれない。

もし神戸に六甲山が無かったら、神戸の魅力は半減する。30分あれば海にも山にも行ける。そんなアクセスのよさが神戸の売りだ。1,000万ドルの夜景も六甲山があればこそ。ミナト神戸も六甲山というパートナーを得て、いっそう輝きを増すのである。

そして、忘れてはならないのがあの大震災。人工的なものはことごとく被災したのに、六甲山の佇まいは変わらなかった。あの時、六甲山は無言で人々を癒したのだ。六甲山よ、ありがとう。

布引の滝の登り口に住んでいる私には、六甲山は近すぎて、いつでも行けると思うのか、なかなか足を向ける機会が少ない。 日ごろの喧噪から、簡単に抜けられる六甲の自然。こんなにいい環境を利用しない手はない。大いなる六甲山に見守られて暮らす神戸市民に呼びかけたい。「もっと六甲山に親しもう」と。

(2005年5月12日)

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